慶應義塾大学 佐藤雅彦研究室『イメージの読み書き』(美術出版社)発売中

たて続けに。こっちの方がほしい。

大好評のロングセラー『任意の点P』の次にあたる佐藤雅彦研究室の活動として、選ばれたのは「イメージの読み書き」。佐藤氏が20年来、興味をもって取り組んでいるもので、"あるイメージを見て、みんなが同じ意味や感覚を持つ"というもの。今まで誰も体験したことのない新しい表現の収録作品38点は、マヨネーズやヘリコプター、企業のロゴなど、具体的をイメージさせるもの、動きを想起させるもの、質感を感じさせるもの、と実にさまざま。文庫本サイズの小さな頁の中にもかかわらず、見る人の頭の中に大きくイメージが広がる。 『イメージの読み書きとは、言葉で解釈できないもので、イメージとして確かに感じるものをどうやって現実に定着させるか、という試みである。 「言葉で読み書き」しているように、「イメージで読み書き」できたら、どんなにいいだろう──こんな思いに囚われたのは、もう20年も前のことでした。言葉を使うまどろっこしさから解放されて、複雑な思考が絡み合うことなく伸びやかに流れていく、そんな気持ちよさを目指した個人的な試みは、新しい表現の可能性/鉱脈を感じつつも決して満足できる成果をあげることはできませんでした。  今回の「イメージの読み書き」への再挑戦は、大学の研究室のみんなと行いました。そして、言葉をまったく使わずといったことに頑なに力を注ぐよりも、新しい表現を生むことを一義にしました。この3分冊には、ふだん我々が、頭の少し奥の方で行っているだろう言語を中心としない思考形態の露見化が為されています。基礎編・応用編・鑑賞編と分けられていますが、難易の基準は人によって異なりますので、順をあまり気にせず楽しんでいただければと思います。』(佐藤さんの序文から)

ついでに、来月4日からギンザ・グラフィック・ギャラリーで催される「佐藤雅彦研究室展 課題とその解答」の詳細をメモ。

■会期:2005年8月4日(木)〜8月29日(月)
11:00〜19:00 (土曜日は18:00まで)日曜・祝日は休館
■会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー 入場無料
〒104-0061(map:104-0061
東京都中央区銀座7−7−2 DNP銀座ビル
tel.03-3571-5206
■映像上映:毎日16時より 2階映像ホールにて
■展示概要

 佐藤雅彦研究室では、課題と演習を研究の軸としている。
 ギャラリーでは、「デジタルとは何か?」「四分木」「レイヤーという考え方」「アルゴリズムが生む表現」「制約のある表現」「時間の積層」などの佐藤雅彦が出した課題に対し、研究生が様々な方法で解答を求め、視覚的表現へと発展させていく過程で制作される造形物や映像、また最近重点を置いている脳科学とアニメーションという新しい領域も合わせ、様々なプロジェクト、ワークショップなどをそれぞれのブースごとに紹介する。
 2階映像ホールでは、佐藤研の表現の中でも特に評価の高い映像分野を一挙に紹介する。内容的には、研究活動の基盤でもある、考え方を重視した映像作品群、根元的なアニメーション群、さらには刺激的な未発表作品を含むプログラムを上映する。